福岡県の痴漢冤罪|無実の自分が痴漢を疑われたときの対処法を福岡の弁護士が解説

福岡県内の主要路線における混雑率は全体として上昇傾向していることから痴漢に疑われるリスクも上昇する懸念があります。

「痴漢なんてしていないのに電車で疑われた…」「自分は潔白だけど、どうやって証明したらいいの?」「駅事務室に連れて行かれた。どうなるの?」

そんなときは、頭がパニックになり、この状況から逃れたい一心で容疑を認めてしまう恐れがあります。「自分は大丈夫」と思っても、いざ現実にトラブルが発生すると想定通りに動けないのが人間です。

この記事では、福岡県で無実なのに痴漢を疑われたご本人・ご家族に向けて、現場での対応、任意同行と逮捕の違い、取調べの対応方法、家族ができることを整理します。

目次

痴漢を疑われた現場でまずすべきこと

Q. 最初に何を伝えればよいですか?

痴漢をしていないのであれば、相手や周りの人に対して、そのことを端的にはっきりと伝えます。例えば「私は痴漢をしていません」と、必要な点を短く伝えてください。

成瀬弁護士

現場ではあまり詳細を語らない方がよいと考えます。気が動転して不必要なことを言い相手の感情を害したり、勢い余って事実と異なることを発言してしまう可能性があるからです。

大声で言い争うことは厳禁です。また、その場で詳しい弁解や口論をすることは不要と考えます。できるだけ落ち着いて簡潔な説明を心がけましょう。

Q. 謝って早く帰るのはどうですか?

早く帰りたい一心で、していない行為を認める説明や謝罪をするのは避けてください。

その場から立ち去ったとしても、高い確率で後日警察から連絡が来ますし、捜査されます。その際に、「当日容疑を認めただろう」と追及されて容疑を否定しづらくなります。

野崎弁護士

実際、当初容疑を認めてしまうと、あとから否認に転じることは容易ではありません。あなたの供述の信用性も低下し、裁判などで不利に働きます。

Q.相手を振り払って逃げてもいいですか?

相手や周囲の人に対して、押す・殴る・振り払うなどの行為をした場合、暴行罪や傷害罪という別の犯罪が成立してしまう恐れがあります。

その場合、痴漢容疑は晴れたとしても、暴行罪や傷害罪で処罰されてしまいます。可能な限り、相手や周囲の人との接触は避けましょう。

Q. TVで線路に逃げる人を見たことがあります。実際どうなんですか?

痴漢を疑われてパニックになっているからと言って、線路から逃げないよう注意してください。鉄道営業法違反、威力業務妨害罪、往来危険罪などの犯罪となるリスクがあります。

その場で法律事務所に電話して相談することも一案です。可能な限り冷静な対応をしましょう。

任意同行と逮捕はどう違うのか

Q. 駅員や警察官に別の場所へ来るよう言われたら従うべきですか?

まず「任意の協力ですか?それとも逮捕されていますか?」と確認します。警察による任意同行や任意の取調べと、逮捕による身柄の拘束は異なります。

逮捕・勾留されていない被疑者は、そもそも同行を断ったり、出頭後であってもいつでも退去したりできます(刑事訴訟法198条1項)。

そこで、痴漢冤罪を疑われた場合には、自分の名前と連絡先を名乗った上、「私は痴漢をしていませんし、同行する義務はないので失礼します」と言って、その場から立ち去る選択肢が考えられます。

成瀬弁護士

立ち去る際、警察官に対して、力ずくで立ち去ろうとするのは避けましょう。公務執行妨害として逮捕されるリスクがあります。

Q. 駅員や警察の指示に従った方がよくないですか?

これは、かなり難しい判断によります。場合によっては応じた方がよいケースもあると思います。しかし、次のようなリスクがあることは理解しておきましょう。

任意同行に応じるリスク

その場で言われるがまま、駅事務室や商業施設の事務所に行き、その後警察の任意同行に応じると、取調べが待っています。

動揺したあなたは、その取調べで曖昧な供述をしてしまったり、恐怖から容疑を認めてしまうなど自分に不利な態度を取ってしまう可能性が少なくありません。

一度容疑を認めたり、不利な供述をするとそれが記録に残り、取り返しのつかない事態に発展します。

野崎弁護士

任意同行に応じたとしても、きちんと容疑を否認しましょう。また、当日の取り調べでは詳細な話を避けた方がよいかもしれません。動揺して事実と異なる発言をしたり、不自然な供述をしてしまう恐れがあります。

Q. 警察官でない人に止められている場合は、逮捕ではありませんか?

現行犯逮捕は、法律上の要件を満たせば、警察官以外の一般私人も行うことができます。そのため、相手が駅員や一般人だから自由に振り切ってよい、と考えるのは危険です。一般の人が現行犯逮捕した場合は、直ちに警察官等へ引き渡す必要があります。

逮捕の要件を満たすかは別途確認が必要ですが、現場では暴力で解決しようとせず、警察官と弁護士による確認を求めてください。

取調べと供述調書で気をつけること

Q. 警察で聞かれたことには、すべて答える必要がありますか?

被疑者には黙秘権があり、自分の意思に反して供述する必要はありません。取調べでは、終始黙っていることもできますし、話したい質問にだけ答えることもできます。

取調べで何を話して、何を話さないのかを事前に弁護士と打ち合わせておくことが重要です。もし当日取調べを受けて、弁護士に相談する時間がない場合には、「私は痴漢をしていません」とだけ答えて、それ以外の質問には黙秘をするのが無難です。

根拠:刑事訴訟法198条2項、憲法38条1項

もし供述する場合は、自分が覚えている事実に限って話します。分からないことは「分かりません」、覚えていないことは「覚えていません」と区別してください。

成瀬弁護士

警察は、「分からないわけがないだろう」「覚えているはずだろう」と言ってくるかもしれませんが、強い意志で臨みましょう。

捜査官の説明に合わせて想像で話を埋め合わせたり、曖昧な事情を断定しないでください。

Q. 供述調書に自分の話した内容と違うことが書かれている。どうすればよいですか?

供述調書は、話した内容を捜査機関が書面にまとめたものです。署名・押印の前に、読んでもらうか自分で読み、言っていない内容や意味の違う表現がないか、一つずつ確認してください。

もし誤りがあれば、削除・追加・訂正を求めます。あなたには、供述調書の内容を訂正したり、追加・削除などを求める権利があります(増減変更申立権)。

根拠:刑事訴訟法198条4項

野崎弁護士

内容が違う、訂正されない、理解できないといった場合は、調書に署名・押印をせずに弁護士へ相談しましょう。刑事訴訟法上、供述調書への署名・押印を拒むことができます。

Q. 警察から供述調書へのサインを求められました。どうすればいいですか?

痴漢冤罪の場合には、基本的に供述調書への署名・押印(指印)を拒否すべきと考えます。

あなたには、供述調書への署名・押印(指印)を拒否する権利があります(署名押印拒否権)。警察があなたにサインを強要することはできません。

根拠:刑事訴訟法198条5項

成瀬弁護士

警察官によっては「サインしないと帰れないぞ」などと言ってくることがありますが、そのような根拠はありません。法律上、任意の取調べはいつでも帰ることができます。

痴漢冤罪では、やっていない行為を認める内容の調書には同意しないでください。一度署名した調書を後から訂正したり、署名押印を撤回することはできません。

どんな罪で捜査されるのか?

Q. 痴漢は何という犯罪になるのですか?

「痴漢」は一般的な呼び方で、適用される法律は行為の内容や状況によって異なります。福岡県では、福岡県迷惑行為防止条例による規制のほか、刑法の不同意わいせつ罪が問題となります。

福岡県迷惑行為防止条例6条1項は、公共の場所や公共の乗物で、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は不安を覚えさせるような方法で、衣服等の上から又は直接身体に触れる行為を規制しています。罰則は、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金です。

不同意わいせつ罪(刑法176条1項)は、条文に定める行為や事情によって、相手が同意しない意思を形成・表明・全うすることが困難な状態にさせ、又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をする場合に成立します。罰則は、6ヶ月以上10年以下の拘禁刑です。

条例違反になるか、不同意わいせつになるかは、疑われている行為の内容、周囲の状況などを確認して判断されます。

Q. 自分で無実の証明をしなければいけませんか?

刑事裁判では、「疑わしきは被告人の利益に」の原則があります。つまり、あなたが痴漢をした事実を立証しなければならないのは検察官にあり、あなたは無実を証明する必要がありません。

野崎弁護士

検察官が、あなたを有罪であると証明できない場合には、不起訴や無罪となります。

Q. 示談をすれば、不起訴になりますか?

刑事事件の示談とは、被害者に対する真摯な謝罪を前提に、示談金をお支払いして、事件のことを許してもらうものです。

しかし、痴漢冤罪の場合、あなたに落ち度はありませんので、示談をする動機がありません。ですので、痴漢冤罪の場合、基本的には示談という話にはなりません。

とはいっても、満員電車で身体が密着するなどして相手に不快な思いをさせてしまうこともあると思います。誤解を与えるような言動があったかもしれません。

相手との話し合いの中で誤解を解いたり、相手と円満に解決することも示談の一種であると考えると、痴漢冤罪の場合に絶対示談交渉ができないわけではありません。

あなたのケースで示談が可能かどうかは、詳しい事情をお聞きしないと何ともいません。痴漢冤罪の場合に示談をするかどうかは、弁護士に直接相談をしてから決めてください。

成瀬弁護士

一般論では、痴漢冤罪でも、相手と示談をすれば不起訴になる可能性は高まります。

逮捕された場合の流れと家族ができること

Q. 逮捕されたら、どのくらい帰れないのでしょうか?

起訴前の身柄拘束が最大23日間、起訴(公判請求)された場合には更に数ヶ月身柄拘束が続き、帰ることができません。

逮捕の期間

逮捕をされたら最長3日間(72時間)の身柄拘束がされます。警察が逮捕した場合、警察は、引き続き身柄を拘束する必要があると判断すれば、身体を拘束した時から原則48時間以内に検察官への送致手続をします。

検察官は、身柄を受け取ってから24時間以内、かつ、身体の拘束から合計72時間以内に、勾留請求・起訴・釈放のいずれかを判断します。

よく言われている「72時間以内が大切」と言われるのは、勾留前までの手続が72時間(3日間)だからです。

検察官が勾留請求をした場合には、裁判官があなたへの質問をして、その結果、勾留するかどうかを決めます。

野崎弁護士

この72時間以内に弁護士を付けて早期釈放の活動をすることにより、その後の勾留を回避することができる場合もあります。

勾留決定後

検察官が勾留請求をし、裁判官がその請求を認めると、10日間〜20日間の勾留が続きます。

勾留期間最終日には、検察官が起訴するかどうかを決定するのが一般的です。

起訴後も勾留が続く場合がありますので、「最大23日で必ず帰れる」とは考えず、具体的な手続を弁護士に確認しましょう。

Q. 家族は何をすればよいですか?

逮捕されている警察署、担当部署、逮捕された日時、疑われている内容など、分かる情報を控えて弁護士へ相談します。弁護士は、本人との接見、取調べへの助言、証拠保全、早期釈放に向けた対応などを検討できます。

弁護士は、身柄を拘束されているご本人と警察官の立会いなしに面会して打ち合わせができます(秘密交通権)。

今のうちにも警察から追及を受けて、やってもいない痴漢を認めてしまうかもしれません。できる限り早くご本人と面会してもらい、不利益にならないようアドバイスを受けるべきです。

電話一本でも弁護士に接見(面会)を依頼できる初回接見という活動があります。ご家族はご本人のためにできるだけ早く接見を頼むべきです。

福岡で痴漢冤罪について弁護士に相談するには

Q. 逮捕される前でも相談できますか?

はい、相談できます。現場で疑われた直後、警察から呼び出された段階、任意の取調べを受けた後など、逮捕前に対応を確認しておくと安心です。

相談では、否認する内容と、その根拠になる事実を整理します。接触自体を争うのか、故意の接触ではないと説明するのかなど、実際の記憶に沿って方針を検討します。

Q. 相談前に何を準備すればよいですか?

  • 疑われた事実について、日時、場所、移動経路と、疑われたときの経過を整理
  • 警察署名、担当者、連絡を受けた日時、次回の呼出し日時、押収された物を確認
  • 保存済みの履歴・記録、目撃者に関する情報、映像がありそうな場所の確認
  • 作成した書面や署名した書面の内容、体調や勤務上の心配ごと

法律相談までに、このような準備をしておくとよいでしょう。ただし、資料がそろうまで相談を待つ必要はありません。できるだけ早く相談することが何より重要です。

初回30分相談無料・夜間や土日祝もOK

福岡弁護士法律事務所では、痴漢冤罪を含め、これまで多くの刑事事件を取り扱ってきました。初回相談は30分無料で、夜間や土日祝日も相談OK、電話またはLINEから予約できます。

事務所は福岡市地下鉄・天神駅から徒歩約5分です。初回30分を超える相談や弁護の依頼には別途費用がかかるため、相談時にご確認ください。

身に覚えのない疑いをかけられたときは、いかに冷静になって適切な対応を取れるかが鍵になってきます。自分の身を守るためには、正しい知識と対応が求められます。一人で悩む前に、いま必要な対応を弁護士と確認しましょう。

この記事を書いた人

成瀬 潤のアバター 成瀬 潤 福岡弁護士法律事務所 共同代表弁護士

福岡県弁護士会所属(登録番号52748)
弁護士登録後、刑事弁護に注力し、刑事事件の相談件数は累計2000件を超える。座右の銘は「至誠通天」。依頼者の悩みに親身に寄り添い事件を解決へと導く。粘り強い示談交渉力が強み。

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