セルフレジ万引きを疑われたら?操作ミスとの違い・処分・示談を福岡の弁護士が解説

セルフレジ万引き:操作ミスとの違い・処分の見通し・示談の効果

「セルフレジで会計したつもりなのに、未精算の商品があると言われた」「後日、店や警察から連絡が来た」。

セルフレジ万引きとして問題になる代表的な手口には次のようなものがあります。

  • バーコードを読み込まないでスキャンしたフリをする
  • 商品を重ねて安い商品だけをスキャンする
  • 6本パックの缶ビールなどを1本分だけスキャンする

ただし、未精算があったという結果だけで直ちに窃盗罪と決まるわけではありません。

この記事では、故意の未精算と操作ミス・スキャン漏れの違い、捜査への対応、処分の見通し、示談と再犯防止策を中心に解説します。

目次

故意と操作ミス・スキャン漏れの違い

窃盗罪には故意が必要

他人の財物を盗む行為には、刑法235条の窃盗罪が成立し、罰則は10年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金です。

一方、刑法38条は、原則として犯罪を行う意思のない行為を罰しないと定めています。この犯罪を行う意思のことを「故意」と呼びます。

そして、窃盗罪の故意は、他人の物を盗もうという気持ちのことです。故意がない場合には、窃盗罪は成立しません。単なる不注意による「過失窃盗」という処罰規定はありません。

そのため、本当に精算したと思っていたのか、支払っていないと分かりながら商品を持ち去ったのかが重要です。

窃盗罪の故意が認められるかどうかは、あなたの主張のほか、決済履歴、購入や決済の流れ、購入した商品、商品点数、防犯映像などの客観的な資料を踏まえて、総合的に判断されます。

未精算という結果と故意は区別し、当時の認識とレシート・決済履歴・映像などの資料を合わせて判断する
野崎弁護士

操作ミスやスキャン漏れは、一般的に窃盗の故意がないので窃盗罪は成立しません。

当時の認識と、後から知ったことを分ける

窃盗罪の故意があるかどうかは、未精算時の内心を基準に判断されます。ですので、未精算時の内心と未清算後の内心を分けて考えることが大切です。

まず、買い物の日時、購入した商品、会計時に認識していたこと、未精算に気づいた時点を、覚えている範囲で整理しましょう。「そのとき支払いが済んだと思っていたこと」と「店から指摘されて初めて分かったこと」を混ぜないことが大切です。

後から知った時は犯罪不成立?

では、会計時には未精算に気付かなかったが、会計後に未精算であることに気付いた場合はどうでしょうか?

この場合、気付いた時点で商品を返さずに持ち帰ってしまったり、費消してしまうと占有離脱物横領罪が成立してしまいます。

成瀬弁護士

気付いた時点でお店に戻り、未精算商品があったことを申告し、会計を済ませるのがよいでしょう。

店や警察から連絡が来たときの対応

連絡内容を確かめ、事実を整理する

店や警察から連絡が来たら、担当者、対象とされている日時・店舗、連絡の趣旨を確認し、記録しておきます。自分の認識と違う内容を、早く話を終わらせたいという理由だけで認める必要はありません。実際に支払っていなかった場合も、事実と異なる説明を重ねず、どの範囲を認めるのかを整理します。

警察の取調べでは、自己の意思に反して話す必要はありません。逮捕・勾留されていない被疑者の出頭や取調べは原則として任意です。ただし、連絡を放置してよいという意味ではありません。日程の調整、持参資料、説明の仕方を、可能であれば初回の取調べ前に弁護士へ相談しましょう。

供述調書を作成されたときは、内容を読み、又は読み聞かせを受けて、自分の説明と違う点がないか確認します。訂正を求めることができ(増減変更申立権)、内容に納得できないまま署名押印する必要はありません(署名押印拒否権)。

根拠:刑事訴訟法198条

支払いと犯罪を認めることを一緒にしない

未精算の商品代金を精算する問題と、犯罪の故意があったかという問題は区別して考えます。操作ミスを主張しているのに、内容を理解しないまま故意を認める書面へ署名することは避けてください。店との話し合いも、事実関係と書面の内容を確認したうえで進めることが重要です。

在宅捜査と逮捕後の流れ

在宅事件でも処分の判断は残る

セルフレジ窃盗の事件では、逮捕されず、日常生活を続けながら捜査を受ける場合があります(在宅捜査)。

在宅で捜査が進んだ場合も、事情聴取や証拠の収集を経て、検察官が起訴するかどうかを判断することがあります。在宅だから不起訴、逮捕されたから有罪という関係ではありません。

逮捕された場合には身柄と本案を並行して考える

セルフレジ万引きでも、悪質性が高く、証拠隠滅や逃亡の恐れがあると評価される場合には、逮捕される可能性があります。

その場合、逮捕は3日間、勾留は10〜20日間、起訴前の身柄拘束期間は最長23日にも及びます。逮捕されてしまった場合には、家族の協力を得て、早期釈放を目指しましょう。

野崎弁護士

家族が逮捕された場合は、早めに弁護士へ相談し、状況確認と身柄解放の可能性を検討しましょう。弁護士を派遣する初回接見は初動の大切な活動です。

再犯と処分の見通し

処分は回数だけで決まらず、被害額・前科・行為態様・被害回復・再犯防止などを踏まえて個別に判断される

セルフレジ窃盗の刑事処罰は、一般的な万引きと同様の相場になっていくことが考えられます。

例えば、初犯の場合には微罪処分(不送致で終了)、2回目は不起訴、3回目は略式罰金、4回目は執行猶予、5回目は実刑というように段階的に処罰が重くなることが多いと思われます。

もちろん、すべての事件でこのような段階的な処罰になるわけではなく、悪質性の高い事件だと段階を飛び越して重い処罰が下る可能性があることには注意が必要です。

損害弁償と示談の効果

商品代金の支払いで事件が終わるとは限らない

損害弁償は、商品代金などの被害を回復するための対応です。示談は、謝罪や賠償の上、今後の約束などや宥恕を得たりすることについてをいいます。

これら被害回復や示談は、不起訴や刑の軽減にとって有利な事情になります。

セルフレジ窃盗の示談金相場

セルフレジ窃盗については、被害額や店舗の方針、この事件で要した人件費、調査費、商品を返せるかどうかなどの様々な事情を考慮して示談金が決まるため、断定的な金額を示すことはできません。

しかし、一般的な示談金相場は被害額+αと言うことができます。被害額がベースの示談金となり、これに迷惑料を加えるものです。迷惑料は5万円〜10万円などが通常だと考えられます。

ルフレジ窃盗については、被害額や店舗の方針、この事件で要した人件費、調査費、商品を返せるかどうかなどの様々な事情を考慮して示談金が決まるため、断定的な金額を示すことはできません。

しかし、一般的な示談金相場は被害額+αと言うことができます。被害額がベースの示談金となり、これに迷惑料を加えるものです。迷惑料は5万円〜10万円などが通常だと考えられます。

再犯を防ぐためにできること

「今度こそしない」という約束だけでなく、なぜ同じ問題が起きたのか、生活の中でどのように再発を防ぐのかを具体化することが大切です。

また、操作ミスやスキャン漏れでトラブルとなった場合には、トラブルを起こさない努力が必要です。

  • スキャンのたびに、レジ画面を見て確かめる
  • 点数が合っているか最終チェックをする
  • 操作方法がわからない場合には店員を呼ぶ
    など

窃盗を止めたいと思っても繰り返してしまう人はクレプトマニアの疑いがあります。クレプトマニアとは窃盗依存症のことです。まずは自分が依存症に該当するのかどうか、該当するとしてどのような治療が必要なのかを検討しましょう。

専門機関例:クレプトマニア医学研究所、ジャパンマック

よくある質問と弁護士への相談

Q. スキャン漏れなら前科は付きませんか?

窃盗の故意などが認められなければ、窃盗罪として有罪にすることはできません。ただし、過失のスキャン漏れと評価されるかどうかはあなたの説明内容と客観的な資料を踏まえて判断されます。

どのような話をすればご自身の主張が理解してもらえるかを弁護士に相談した方がよいでしょう。

Q. その場で捕まらなければ、事件にはなりませんか?

その場で声をかけられなかったことだけでは判断できません。後から事情を聞かれる可能性もありますし、お店から目をつけられている可能性もあります。店や警察から連絡があったときは用件を確認し、弁護士へ相談しましょう。

Q. 初犯で被害額が小さければ、弁償だけで終わりますか?

初犯で被害額が何百円、数千円などという場合には、被害弁償だけで終わる可能性はあります(微罪処分)。

しかし、初犯であっても被害額が大きかったり、容疑を不自然に否定している場合には、通常の捜査の流れとなることもあります。

Q. 家族だけで相談してもよいですか?

ご本人が逮捕されている、強い不安を抱えているなどの場合には、ご家族からのご相談も承っております。未成年の事件は成人の手続と異なるため、年齢もお伝えください。

福岡弁護士法律事務所では、セルフレジ窃盗をしてしまった場合や誤って未精算のまま立ち去ってしまった方や、そのご家族からの相談を初回30分無料で承っております。夜間や土日祝日も相談可能で天神駅から徒歩約5分、刑事事件の経験が豊富な当事務所にご相談ください。

この記事を書いた人

成瀬 潤のアバター 成瀬 潤 福岡弁護士法律事務所 共同代表弁護士

福岡県弁護士会所属(登録番号52748)
弁護士登録後、刑事弁護に注力し、刑事事件の相談件数は累計2000件を超える。座右の銘は「至誠通天」。依頼者の悩みに親身に寄り添い事件を解決へと導く。粘り強い示談交渉力が強み。

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