【早期釈放】家族の協力が不可欠|ポイントを押さえて勾留阻止を実現する

「事件を起こして逮捕されそう…」
「夫が突然逮捕された…いつ戻ってくるの?」
ご自身が逮捕される不安を抱えている方、ご家族が逮捕されてしまった方は、突然の出来事にパニックになっているはずです。逮捕後の流れも分からず、漠然とした大きな不安を抱えていることでしょう。
このような方に向けて、この記事では、逮捕後に早期釈放を実現するポイントを解説します。
- 勾留されてしまう理由
- 早期釈放のタイミング
- 早期釈放を実現するために重要なポイント
- 家族の協力が不可欠な理由

勾留されてしまう理由
はじめに
逮捕後、引き続き身柄拘束の必要があると判断されると「勾留」という身柄拘束期間が始まります。
この勾留期間は原則10日ですが、1回延長することができます。延長された場合には、最大で20日の身柄拘束期間となります。
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したがって、勾留されてしまうと、少なくとも10日間は警察の留置施設で生活しなければならず、もちろんスマホやインターネットを利用することはできません。
そのため、職場や学校に対しては、10日間無断欠勤をするか、家族が事情を説明するか、何かしらの対応が求められます。また、いずれにしても10日間も仕事を休めば、失職が現実味を帯びてくるでしょう。
このように「勾留」は、皆さんの生活に多大な支障を与えます。
それでは、法律ではなぜ「勾留」が認められるのでしょうか?
法律上、勾留される条件は次の通り整理できます。
この3つの条件をすべて満たした場合に「勾留」という身柄拘束を行うことができます。
- 罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること
- 勾留の理由があること:「住居不定」「罪証隠滅のおそれがある」「逃亡のおそれがある」のいずれかに当てはまること
- 勾留の必要性があること

刑事訴訟法第60条1項
① 裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。
一 被告人が定まつた住居を有しないとき。
二 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
三 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
では、勾留の3つの条件について詳しく確認していきましょう。
条件1:罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
勾留するためには、「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある」ことが必要とされています。これを嫌疑の相当性と呼ぶこともあります。
嫌疑の相当性は、犯罪の容疑が一応認められる程度の理由があればよく、有罪にできるほどの証明ができていなくても構わないとされています。
ですので、嫌疑の相当性が否定されることは少なく、アリバイが存在したり、犯人違いだったことが判明するなど、非常に稀な事例に限られます。
条件2:勾留の理由があること
「勾留の理由がある」と言えるのは、次の3つのうち、いずれかの事情に当てはまる場合です。
- 住居不定
- 罪証隠滅のおそれがあること
- 逃亡のおそれがあること
住居不定とは、住所や居所がないことです。
例えば、短期間で各地を転々としている場合、野宿生活を送っている場合が典型例です。友人宅を泊まり歩くなどして自宅に帰っていないケースも住居不定と評価される場合があります。
罪証隠滅のおそれとは、証拠に対する不正な働きかけによって、終局判断を誤らせたり捜査や裁判を紛糾させたりするおそれがあることを言います。
例えば、証拠が保存されているスマートフォンや凶器・犯行道具を捨てるなどが典型例です。
その他に実務上では、「被害者や事件関係者と接触を図り、被害供述や目撃供述を変えさせるのではないか」などと、被害者や事件関係者に対する不正な働きかけの可能性が疑問視されて勾留されるケースも多いです。
逃亡のおそれとは、逮捕された人が刑事訴追や刑の執行を免れる目的で捜査機関や裁判所に対して所在不明になる可能性のことを言います。
典型例は、刑務所に行くことを恐れて身を隠して逃げ回る場合です。
この逃亡のおそれは、①生活が不安定ではないか、②実刑(刑務所)などの重い処罰が予想されるか、③その他、身の上や供述態度から所在不明となることが懸念されないか、と言う視点から判断します。
条件3:勾留の必要性があること
「勾留の必要性があること」の判断は、身柄を拘束しなければならない事情(公的な利益)と、身柄拘束によって逮捕された人が被る不利益等(容疑者の不利益)を比較して、どちらを優先すべきかを判断します。

勾留の必要性は、起訴の可能性(事案の重さなど)、捜査の進捗、罪証隠滅や逃亡の可能性の大きさ、容疑者の個人的事情(健康、職業上、生活上の事情)などの事情を総合的に考慮して判断します。
まとめ
以上のとおり、勾留されてしまうのは、この3つの条件をすべて充足している場合です。
- 罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること
- 勾留の理由があること
- 勾留の必要性があること
これらの条件をすべて充足する場合には、容疑者の身柄を拘束しておかないと捜査や裁判に大きな支障が生じる可能性が高く、勾留が正当化されると評価されます。
早期釈放のタイミング:逮捕後3回訪れる
下記のとおり、早期釈放のチャンスは3回のタイミングで訪れます。
- 勾留請求時
- 勾留質問時
- 勾留決定後

検察官の勾留請求時
第1のチャンスは、検察官の勾留請求時です。
逮捕された後は、2日以内に「送致」という手続が行われます。つまり、事件が警察から検察官に引き継がれて、それ以降、警察と検察官が一緒になって捜査を進めます。
この送致の際、検察官は、容疑者を取り調べて、1日以内に、身柄拘束を続けて捜査すべきか、釈放して在宅捜査という形に切り替えるのかを判断します。
検察官が「身柄拘束を続けて捜査すべき」と判断した場合、検察官は裁判官に対して「勾留をしてください」と依頼する勾留請求を行います。
このタイミングで、我々は、検察官に対し、「勾留請求をせず、釈放してほしい」と働きかけを行い、勾留請求を断念させるのです。一般的には、弁護士に依頼して、その弁護士から検察官に対して意見書を提出するなどの働きかけを行います。
そして、検察官が、「勾留請求をしない。釈放する」との判断に至れば、早期釈放されます。
裁判官の勾留質問時
第2のチャンスは、裁判官の勾留質問時です。
検察官が勾留請求をすると、実際に勾留するかどうかを裁判官が判断します。勾留するかどうかを最終決定するのは裁判官だからです。
そして、裁判官は、勾留するかどうかを判断するために、容疑者と面談をします。これを勾留質問と言います。
この勾留質問の結果、裁判官が「勾留の必要がない」と判断した場合には、当日中に釈放されます。
ですので、この勾留質問に合わせて、裁判官に対して、「検察官の勾留請求を却下して、釈放してほしい」と働きかけを行うのです。この場合も、第1のチャンス時同様、弁護士に依頼して、その弁護士から裁判官に対して意見書を提出するなどの働きかけを行うことが多いです。
勾留決定後の不服申立て
第3のチャンスは、勾留決定後です。
勾留質問の結果、勾留が決定すると、10日の身柄拘束が継続します。そして、勾留は一度延長することができ、その延長期間は最大で10日間です。
ということは、勾留の期間は最大で20日間になります。
2023年時点の統計によると、検察官が勾留延長を請求する率は69.6%で、勾留延長が却下された比率は0.2%となっています(日本弁護士連合会「統計から見える日本の刑事司法【経年推移】」)。
このことから言えるのは、「ひとたび勾留されると、その後に勾留延長される確率が高い」ということです。
長期の身柄拘束により早期の社会復帰は困難となります。したがって、職場や学校に支障が生じる可能性が高くなります。
しかし、裁判官の勾留決定の判断に対しては、不服申立てを行うことができます。この不服申立ては「準抗告」と呼ばれています。
これは、裁判官が決定した勾留の判断が正しいかどうか、本当に勾留すべきかどうか再審査を求めるものです。
不服申立てによる再審査の結果、申立てが認容されれば釈放されます。
早期釈放のポイント
勾留されてしまう理由と早期釈放のタイミングが分かったところで、どのような主張をすれば早期釈放の確率を高めることができるのか、早期釈放のポイントを確認しましょう。
勾留されてしまう理由の裏返し
先ほど勾留の条件を確認しましたが、勾留されてしまう主な原因は、
- 勾留しないと、証拠を隠滅されて、捜査に支障が生じると困るから
- 勾留しないと、逃亡されて、捜査に支障が生じると困るから
- 容疑者の不利益よりも、捜査上身柄拘束を優先すべきだから
と整理することができます。
裏を返すと、
- 証拠を隠滅するおそれがない
- 逃亡するおそれがない
- 捜査よりも容疑者の不利益を重視すべき
と思ってもらえれば、勾留されずに済むと考えられます。
ポイント1:罪証隠滅しないことを主張する
罪証隠滅とは、事件の証拠を壊す、隠すなどの不正を働くことによって、最終判断や捜査・裁判を混乱させる行為です。
事件の証拠となる写真や動画を削除したり、スマートフォンや犯行道具を捨てたりする行為はもちろんのこと、被害者や事件関係者に近づき、自分の都合の良いように供述するよう頼む行為や口裏合わせも罪証隠滅行為となります。
これに対し、我々は「罪証隠滅のおそれがない」ことを積極的に主張することで早期釈放の可能性を高めます。
では、どんな事情を主張すれば「罪証隠滅のおそれがない」と思ってもらえるでしょうか?
「罪証隠滅のおそれがない」ことを主張するポイントを整理したので、ご確認ください。
- 被害者や目撃者と面識がない
- 被害者と目撃者の連絡先を知らない
- すでに警察が家宅捜索をして証拠品を押収していった
- 自分の生活圏と事件現場が遠く離れていて、事件現場に訪れるのは困難
- すでに被害者と示談をしている
- 包み隠さず素直に供述をしている
このような事情について、できる限り根拠資料を示しながら説得的に主張できることが望ましいです。
ポイント2:逃亡しないことを主張する
逃亡とは、所在不明となってしまうことです。
そして、逃亡のおそれは、次の要素を踏まえて判断されることが一般的です。
- 生活の不安定さ
- 予想される刑事処罰、罪の重さ
- その他逃亡が懸念される事情はないか
ですので、これらの要素を踏まえて、「逃亡するおそれがない」ことを積極的に主張すれば、早期釈放に近づくことになります。
逃亡のおそれがないことを積極的に主張するためのポイントを下記に整理しましたので、ご確認ください。
- 家族と同居している
- 持ち家がある
- 定職がある
- 扶養家族がいる
- 比較的軽い刑事処罰が見込まれる
- 今までに前科や前歴がない
- 自分の素性、身元を包み隠さず話している
- 包み隠さず素直に供述をしている
これらの事情を整理して、説得的に論じることが重要になります。
ポイント3:不利益が大きいことを主張する
勾留の条件の一つに「勾留の必要性があること」というものがありました。
そして、勾留の必要性は、身柄を拘束しなければならない事情(公的な利益)と、身柄拘束によって逮捕された人が被る不利益等(容疑者の不利益)を比較して判断します。
この比較検討の結果、
- 容疑者の不利益よりも公的な利益が大きいと判断されれば、勾留の必要性あり
- 公的な利益よりも容疑者の不利益が大きいと判断されれば、勾留の必要性なし
となります。
ですので、我々は、公的な利益よりも容疑者の不利益が大きいと主張する必要があります。
どのような場合に容疑者の不利益が大きいと判断されるか、下記にポイントを整理しました。
- 勾留されると会社を解雇される
- 取引先との重要な交渉・面談がある
- 幼い子供がいて、育児の必要がある
- 介護が必要な老親がいる
- 入学試験が間近に迫っている
- 持病があり、留置施設での生活に耐えられない
ポイントとなる事情が複数存在する場合には、すべてを論理的かつ簡潔にまとめて主張することが求められます。
家族の協力は不可欠
これらのポイントを積極的に主張するためには、家族の協力が不可欠と考えます。なぜなら、説得力が違うからです。
例えば、一人暮らしをしている容疑者が
A:「私は証拠隠滅や逃亡をしません」と口約束をして、一人暮らしを再開する場合
B:「実家に帰ります」と言って、家族の監視下で生活する場合
どちらの方が説得的でしょうか?
どう考えても、家族の監視がある方が、罪証隠滅や逃亡を防止できる可能性が高いと思われるでしょう。
このように、罪証隠滅や逃亡のおそれがないことを積極的に主張するためには、家族の監督の下、家族に罪証隠滅や逃亡を防止する対策を講じてもらうことが肝心となります。
ですので、罪証隠滅や逃亡のおそれがないことを積極的にアピールするためには、家族の協力が欠かせません。
よくあるQ&A
弁護士に相談して早期釈放を目指しましょう。
これまで、勾留されてしまう理由、早期釈放のタイミング、早期釈放のポイントを確認してきました。
早期釈放活動を実現するためには、弁護士への依頼が欠かせません。家族や友人などの一般の方が、早期釈放活動を行うことは現実的に困難だからです。
そこで、早期釈放を目指すなら、刑事事件に強い弁護士に相談することをおすすめします。
「早期釈放のためには逮捕から72時間が勝負」と言われることがあります。
しかし、私は「72時間以内と考えるのは遅い」と考えます。
なぜなら、早期釈放の活動には、活動前に事前準備が必要だからです。早期釈放の活動をする前には、逮捕されているご本人さんに会いに行き、家族と面談をして、資料や意見書の作成をする時間が必要です。
このような事前準備の時間を考慮するならば、逮捕1日目の相談・ご依頼が望ましいと言えます。
ですので、躊躇している時間はありません。今すぐに弁護士に相談をする必要があります。
福岡弁護士法律事務所では、福岡の刑事事件を多数取り扱ってきた経験豊富な弁護士が、あなたのお悩みにお応えします。
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