【器物損壊】苛立って他人の物を破壊|器物損壊罪(親告罪)の示談のメリット、不起訴の方法を福岡の弁護士が解説。

「ついカッとなって他人の車を傷つけてしまった」「酔った勢いで店の備品を壊してしまった」

今、あなたはこの記事を読みながら、警察からの連絡や今後の生活に大きな不安を感じているはず。

器物破損は身近な犯罪ですが、放置すれば前科、場合によっては解雇や退学など深刻な社会的制裁を受けるリスクがあります。しかし、適切な初動対応、特に「示談」を成立させることができれば、事件を穏便に解決し、前科を回避することは十分に可能です。

福岡弁護士法律事務所は、これまで数多くの器物損壊事件の相談をお受けし、ご相談者様の日常を取り戻してきました。この記事では、器物損壊罪の基本から解決の鍵となる示談まで、あなたが今知るべき情報を網羅しています。

この記事で分かること
  • 器物損壊罪が成立する具体的な条件と時効
  • 器物損壊罪の捜査の進み方(在宅と身柄どっちか!?)
  • 刑事処罰の内容と初犯の量刑相場
  • 示談が「前科回避」に直結する理由と示談金の相場
目次

器物損壊罪の成立要件と公訴時効

どんな行為が損壊行為に該当する?

器物損壊罪(刑法261条)は、他人の物を損壊したり、他人の動物を傷害したときに成立する罪です。

そして、器物損壊罪の「損壊」は、物の本来の効用を滅却又は減損させる行為を言います。ですので、物を壊した場合だけではなく、美観を損ね、原状回復に困難を来たす行為も損壊行為と認定されます。

過去には次のような例が器物損壊罪として処罰されました。

  • 塀にスプレーで落書きした行為(福岡高判昭和56年3月26日)
  • 客人用の食器に放尿した行為(大判明42年4月16日)
  • 自動車のドアハンドルの内側などに人糞を塗り付ける行為(東京高判平成24年3月26日)
  • 軽自動車のナンバープレートを取り外して3日間隠す行為(東京高判令和4年1月19日)

テレビでもたまに「重要文化財に落書きをして器物損壊容疑で捜査」などと報道されることがあります。これは美観を損ねたことが損壊行為に該当するためです。

他人の動物を傷付ける行為は器物損壊?

賛否両論あると思いますが、法律の世界では、動物は物扱いです。

ですので、他人の飼っている動物を虐待したり故意に傷付けたり、死亡させた場合には、器物損壊罪が成立します。

また、他人の動物を隠す行為も器物損壊罪が成立します。物を再び本来の使用状態に戻せない場合も損壊行為に当てはまるからです。

古い事例では、飼養中の魚を飼養場所の外に流出させてしまい簡単には捕まえられない状態にしてしまったケースがあります(大判明治44年2月27日)。

誤って他人の物を壊した場合は?

器物損壊罪が成立するためには、犯罪の故意(罪を犯す意思)が必要です。

そのため、「物を壊してやろう」とか「この物が壊れてしまうかもしれないけど、まあいいか」などという気持ちで損壊行為をすると犯罪が成立します。

これに対して、不注意で他人の物を壊してしまった場合には、器物損壊罪が成立しません。ですので、あとは民事上の賠償関係だけが問題となります。

過失で物を壊した場合は保険を要確認

不注意で他人の物を壊してしまう行為は、犯罪ではありませんが、民法上の不法行為に該当します(民法第709条)。

この場合には、あなたは、不法行為責任に基づき、相手に対して損害賠償をしなければなりません。

このような場合には、ご自身又はご家族の火災保険、自動車保険、クレジットカードなど、保険関係を確認して個人賠償責任保険が付帯されていないか確認しましょう。

もし個人賠償責任保険が付帯されていて利用が可能な場合、本来あなたが損害賠償しなければならないお金を保険会社が肩代わりしてくれます。

器物損壊罪の公訴時効は?

器物損壊罪の公訴時効は3年です。ですので、犯行から3年が経過すると、検察官は起訴できなくなります。

しかし、民法上の時効は、被害者が「被害及び加害者を知った時から3年」もしくは「不法行為の時から20年」となっています。そのため、刑事事件の時効よりも長い場合があります。

刑事手続の流れ:在宅事件が優勢か?

刑事事件の流れ:在宅と身柄

器物損壊事件では、犯行の態様や証拠隠滅の恐れによって、手続きが大きく2つに分かれます。つまり、在宅事件か身柄事件です。

在宅事件の場合は、逮捕や勾留がされない捜査の流れとなります。そのため、あなたは今まで通りの生活を送ることができます。仕事や学校に行くこともできますし、プライベートでも制限はありません。
ただし、警察から出頭を求められた場合には、任意に出頭し取調べに応じた方が良いです。

一方で、身柄事件は逮捕や勾留をされる事件です。この場合には、逮捕から検察官の終局処分までの最大23日間を警察の留置場で生活することになります。もちろん、外部との連絡は断絶しますので、職場に電話したり、メールやLINE、ネットの使用は不可能です。身柄事件となった場合には弁護士に初回接見を依頼して早期釈放を実現しましょう。

器物損壊事件の傾向は?

では、器物損壊罪の場合、在宅事件と身柄事件のどちらで進む傾向が強いでしょうか?

事件の性質によりますが、初犯で悪質性が強くない事件の場合には在宅事件で進むことが多い印象です。

警察が在宅事件で進めようとする場合、警察からあなたに電話が掛かってきて出頭を求めてくることが多いです。任意ではありますが、警察から電話が掛かってきたら、きちんと対応しましょう。

刑事処罰の内容と量刑相場

器物損壊罪の罰則は?

器物損壊罪は、「3年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する」と規定されています。

条文を見る

刑法第261条(器物損壊等)

前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

初犯の場合の量刑相場は?

器物損壊罪は、被害のあった物の経済的または文化的価値、被害額の大きさ、犯行の悪質性、前科前歴の有無などが量刑を左右することになるでしょう。

初犯の量刑相場は、被害品が一般人の私物であり、被害額がそれほど大きくない場合には、略式罰金となることが圧倒的に多いと言えます。

ただ、略式罰金の場合も前科となりますので、この点は油断しないようにしましょう。

示談のメリットと示談金相場

示談をすれば絶対に不起訴?

器物損壊罪は親告罪とされています。親告罪とは、被害者から「犯人に刑事処罰を科してほしい」と求める告訴がないと起訴できない犯罪のことです。

裏を返すと、被害者から告訴がない場合には必ず不起訴になります。

ですので、器物損壊罪で不起訴を目指すなら示談をして、被害者が告訴を出すのを差し控えてもらえば良いのです。

器物損壊事件で示談をするメリット

器物損壊事件で示談をするメリットを整理すると次の通りです。

  • 必ず不起訴になる
    器物損壊罪は親告罪のため、被害者と示談をして、「告訴を出さない」「告訴を取り消す」という内容を盛り込めば、必ず不起訴になりる。
  • 民事訴訟や損害賠償請求を阻止できる
    被害者と示談をして、示談書に清算条項を盛り込むことで、刑事事件が終わった後に、損害賠償を請求されたり、民事訴訟を提起される恐れがなくなる。
  • 早期釈放の可能性が高まる
    身柄拘束されている事件の場合、早期に示談ができればその分だけ早期に釈放される可能性が高まる。特に器物損壊罪の場合、示談をすれば必ず不起訴となるので、事件の性質上、証拠隠滅や逃亡の疑いがかなり小さくなる。

示談金の相場:実損害額ベースか?

器物損壊における示談金は、【実損害額+迷惑料】の合計金額と考えられます。

実損害額とは、破損した物の修理費、時価額、買替諸費用などです。

迷惑料は、刑事事件により捜査の対応を迫られた負担その他の負担を加味したもので、通常は数万円〜10万円程度が一般的と考えられます。

一例として、次のように考えることができます。

ケース示談金の目安
店舗の備品を破損備品代 + 数万円
車への傷(軽微)修理代 + 5〜10万円
壁への落書き清掃費 + 5~10万円〜

よくあるQ&A

Q. 初犯です。示談をしていなくても起訴猶予になりませんか?

A.基本的には略式罰金と考えるのが良いです。
確かに何もしなくても不起訴になる可能性はゼロではありませんが、相場的には罰金になります。
示談をすれば100%不起訴ですが、示談していない場合には略式罰金が優勢です。

Q. 被害者宅を知っています。自分で示談をしてもいいですか?

A. 被害者との直接の接触は避けて下さい。
事態がこじれて更なるトラブルに発展しかねません。また、警察から、被害者との不当な接触とみなされて逮捕されるリスクが増加します。
必ず専門家である弁護士を介して示談交渉をして下さい。

Q. 告訴がなければ本当に不起訴なんですか?

A. はい。器物損壊罪は親告罪なので、他の犯罪と異なり、告訴がなければ絶対に不起訴です。

Q. すでに告訴が出ているようなんですが、間に合いますか?

A. はい、早めに対応すれば間に合います。告訴が出ていても、示談をして告訴を取り消してもらえれば不起訴になります。
早めに弁護士に相談して、示談交渉を進めて下さい。

器物損壊事件は福岡弁護士法律事務所へご相談を!

器物損壊事件は、示談の有無が結論を左右する事件です。

示談をするなら急ぎましょう。被害者の気持ちを思えば、早く謝罪をして賠償を申し出てくれた方が安心するでしょうし、示談を受け入れやすいです。

福岡弁護士法律事務所では、刑事事件に注力している弁護士野﨑元晴と弁護士成瀬潤が、あなたの弁護人として即座に被害者との交渉を開始します。

また、「職場にバレたくない」「警察の呼び出しが怖くてたまらない」などの不安を抱えている方も是非ご相談ください。そのようなご要望にも応えます。

その不安、一人で抱え込まないでください。 当事務所は、福岡県全域の刑事事件に迅速に対応します。

まずはお気軽にお電話を!

この記事を書いた人

成瀬 潤のアバター 成瀬 潤 福岡弁護士法律事務所 共同代表弁護士

【学歴】
・法政大学第二高等学校
・法政大学法学部法律学科
・中央大学法科大学院
・司法試験(68期)合格

【経歴】
・某A法律事務所新宿支部にて勤務
・某A法律事務所福岡支部長に就任
・福岡弁護士法律事務所の共同代表弁護士に就任

【プロフィール】
大学時代に、尊敬する故・木谷明氏(元裁判官・弁護士)から刑事法を学び、刑事弁護士になることを志す。弁護士登録後は、刑事弁護人としての活動を重点的に行い、これまで受けた刑事事件の相談件数は2000件を超える。刑事事件のほか、交通事故事件・離婚事件・男女トラブルに注力する。座右の銘は「至誠通天」。

【弁護士からのメッセージ】
刑事事件の当事者は、家族や友人も打ち明けることもできず、不安な日々を過ごされていると思います。そのような時こそ、味方となるのが弁護士です。一人で抱え込まず、弁護士にご相談下さい。あなたに寄り添い、全力でサポートします。

【弁護士情報】
・福岡県弁護士会所属(登録番号:52748)

【メディア出演】
・フジテレビ「直撃LIVE グッディ!」
・フジテレビ「めざましテレビ」
・KBC九州朝日放送「土曜もアサデス。」

目次