【暴行罪】の捜査の流れ、示談金や不起訴の方法を詳しく解説

「カッとなって相手を突き飛ばしてしまった」
「お酒の席でトラブルになり、警察を呼ばれた」
暴力事件は、お酒に酔って正常な判断能力を失って、つい感情的に起こしてしまうことも多い犯罪です。
事件を起こしてしまったあなたは今、大きな後悔と、「職場にバレるのではないか」「前科が付くのではないか」と不安な気持ちを抱えているはずです。
暴行罪に問われた方は、できるだけ早い段階で弁護士に相談し、事件の対策を講じるべきです。初期対応が、その後の人生を大きく変えます。
福岡の刑事事件に精通した弁護士が、暴行罪の解決法をご提示します。
- どんな場合に暴行罪が成立するか
- 暴行罪の捜査はどのように進むか
- 暴行罪の刑事処罰・初犯の罰則
- 暴行罪の示談とそのメリット

暴行罪はどんな場合に成立する?
暴行とは?
暴行罪は、人に対する不法な有形力を行使することによって成立する犯罪です。
殴る蹴る、叩く、突く、引っ張るなどの行為が典型的な暴行です。抱きつくという行為は相手に痛みを感じさせるものではありませんが、状況次第では「暴行」に該当します。
しかし、暴行罪(刑法第208条)の対象は、殴る蹴るだけではありません。実務上、「え、これも?」と思われる行為で検挙される例が後を絶ちません。
条文を確認する
刑法第208条(暴行)
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
意外な「暴行」の具体例
例えば、次のような行為にも暴行罪が成立します。
- 相手の数歩前を狙って石を投げる(東京高判昭和25.6.10)
- 相手の耳元で拡声器を使って怒鳴る(大阪地判昭和42.5.13)
- 相手に向かって食塩を振りかける行為(福岡高判昭和46.10.11)
- 運転中に幹線道路で幅寄せ行為、進路妨害などをする(東京高判平成16.12.1)
これらのケースでは、相手に直接暴力が加えられているわけではありません。
しかし、暴行罪は、暴行行為が人の身体に向けられたものであれば成立すると考えられているため、必ずしも人の身体に直接当たる必要がありません。
相手の五官に直接的、間接的に不快や苦痛を与えれば良いとされています。
怪我の有無により犯罪が変わる
相手が通院1日の打撲でも負えば、傷害罪(刑法第204条)として処罰されます。
傷害罪は「15年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金」が科されますので、暴行罪よりも相当重い罪となります。示談をする場合には相手の怪我の程度によって高額になるケースもあります。
このように、相手の怪我の有無により、暴行罪として処罰されるのか、傷害罪で処罰されるのかが変わり、今後の状況が大きく変わります。
「不法な」有形力の行使であることが必要
例えば、日常生活上、スポーツ観戦をしていて盛り上がり抱きついたり、相手を励ますために肩を軽く叩いたりした場合にも、暴行罪が成立するのでしょうか?
暴行罪が成立するためには、「不法な」有形力の行使に限って暴行罪が成立すると考えられています。
「不法な」有形力の行使に該当するかどうかは、行為の目的、行為当時の状況、行為の態様、相手に与えた苦痛の有無・程度などを総して判断されます(東京高判昭和45.1.27)。
故意があることが必要
一般に、犯罪が成立するには犯罪の故意を有することが必要です。犯罪の故意とは、罪を犯す意思のことです。
法律上、犯罪の故意が認められるのは次のようなケースです。
- 犯罪に該当する行為をすることを理解し、犯罪結果が生じることを欲している、受け入れている場合
- 犯罪に該当する行為をすることを理解し、結果が生じるかもしれないが構わないと許容している場合
つまり、犯罪の故意とは、あなた自身の内心が問題となります。
暴行罪の場合にも、暴行の故意が必要とされますので、もしあなたに暴行罪の故意がない場合には、暴行罪は成立しません。
故意がない場合には過失犯が問われる
暴行の故意がなく、暴行罪が成立しなかった場合でも、過失傷害の罪(刑法第209条)が成立する場合があります。
つまり、意図して暴行行為をしなかった場合でも、自分の落ち度で相手にぶつかって相手が怪我をしたような場合には、過失傷害の罪に問われる可能性があります。
過失傷害の場合には、「30万円以下の罰金又は科料」が科せられます。
まとめ
以上見てきたように、暴行罪が成立するのは、次の2つの要件を充足した場合です。
- 暴行行為をしたこと(=人に対する不法な有形力の行使)
- 暴行の故意があること
暴行罪の捜査はどのように進む?
どのような刑事事件であっても、捜査は、
- 身柄事件(逮捕されるケース)
- 在宅事件(逮捕されないケース)
のどちらかの流れで進みます。

身柄事件(逮捕されるケース)
身柄事件の場合には、逮捕勾留され、社会から断絶した環境下で生活することになります。
この場合には、早期釈放を目指すとともに、刑の軽減を図ることになります。
逮捕期間中、できるだけ早いタイミングで弁護士を依頼して早期釈放活動を行います。
そうすれば、勾留されずに3日以内に自宅に戻ることができる可能性があります。
在宅事件(逮捕されないケース)
在宅事件の場合、逮捕・勾留という身柄拘束がされずに捜査が進んでいきます。
この場合には、取調べが必要な都度、警察から連絡が来て、出頭することになりますが、普段の日常生活を送りながら対応できます。
日常生活を送ることは可能ですが、ゆくゆく刑事処罰が待っていることを肝に銘じて、早めの対応を心がけましょう。
軽微な暴行事件の場合には、在宅事件で進むことが多いです。
早めの相談を心がけるべきワケ
在宅事件で進んでいる場合、緊張感がないせいか、「大丈夫だろう」と安易に考えて対処せずにいる方がいます。
在宅事件で身柄拘束されていない、刑事処罰も間近に迫っていない状況では、人は行動に移さないのです。
しかし、刑事事件において「様子見」は状況を悪化させます。
様子見をして取り返しのつかない状況になってからご相談を受けても弁護活動が間に合いません。
例えば、
- 書類送検後に検察官から呼び出しを受けて示談する時間が残されていない
- 罰金処分が決まっていて不起訴の実現は困難
というケースです。
不起訴を目指したい、前科を付けたくないという方は、後回しにせず、早めの対応を心がけてください。
暴行罪の刑事処罰:前科は一生消えない
暴行罪の罰則内容
暴行罪の罰則は、「2年以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」です。
具体的にどのような処罰を受けるかは、犯行動機、犯行態様、被害結果、示談の有無、反省の程度、前科前歴の有無、犯罪傾向の有無、監督者の有無など様々な事情を総合的に考慮して判断されます。
刑事処罰の相場
初犯の場合には、略式罰金(略式起訴)となることが多いです。
略式罰金とは、法廷で正式裁判をせず、罰金刑となることです。略式罰金の場合にも前科が付くことに注意が必要です。
もし過去に前科や前歴がある場合には、刑事裁判を行い、略式罰金よりも重い刑事処罰になる可能性もあります。
前科が付くとどのような影響があるか?
前科がつくことによるデメリットは、法的な制限から社会生活、私生活に至るまで多岐にわたります。
主なものをカテゴリー別に整理して列挙します。
職業・資格に関する制限
特定の職業や資格は、法律(欠格事由)により制限を受ける場合があります。
- 国家公務員・地方公務員への就職不能
拘禁以上の刑に処せられると、原則として失職し、その後も一定期間は採用されません。 - 国家資格の剥奪・停止
国家資格の種類によって免許取消しや停止の対象になります。特に医療系国家資格の場合には厳格な規定になっていることが多く、略式罰金でも資格に支障が生じます。
就職・転職活動への影響
- 履歴書の賞罰欄
賞罰欄がある場合、前科が罰として記載しなければならないのが原則です。もし記載しないと「経歴詐称」となります。 - 身辺調査(リファレンスチェック)
外資系企業や金融機関など、厳格な背景調査を行う企業では採用が非常に困難になる可能性があります。 - インターネット上の実名報道
もし実名報道がネット上に残ると、企業が名前を検索した際に発覚します。
海外渡航の制限
犯罪歴がある場合には海外渡航ができない場合があります。
私生活・社会生活への影響
- 住環境変更のリスク
近隣住民に事件が知れ渡った場合、事実上、引っ越しを余儀なくされるケースがあります。 - 家族への影響
家族の就職や結婚において、相手の印象を損ね、希望する就職や結婚ができない可能性が生じます。
司法手続上の不利益
- 再犯時の厳罰化
次に罪を犯した場合、「前科がある」ことは情状において非常に不利に働き、厳罰方向に働きます。 - 執行猶予の取消し
執行猶予中に再度罪を犯せば、猶予が取り消され、前の刑と合わせて収監される可能性があります。
示談のメリット・示談金相場
暴行事件で示談をするメリット
暴行事件の場合、被害者と示談が成立すれば、検察官が「あえて起訴する必要はない」と判断して、不起訴になる確率が高まります。
不起訴とは、刑事処罰なく事件が終了することです。この場合には前科が付きません。
そこで、暴行事件を起こした場合には、できるだけ早めに示談交渉を進めましょう。
示談交渉は自分でしてもよい?
示談とは、被害者に誠実な謝罪をした上で、賠償金(示談金)を支払い、事件について許してもらうことです。
この示談交渉は自分で行ってよいのでしょうか?
弁護士としては、加害者自らが交渉することはおすすめできません。
理由は様々ありますが、被害者の方のお気持ちを害し、さらなるトラブルに発展する可能性があるからです。
また、加害者が被害者の方と接触することは罪証隠滅を疑われ、逮捕のリスクが高まったり、刑事処罰が重くなる可能性があります。
示談にあたっては示談書を作成する必要がありますが、これは法律上不備がないように作成しなければなりません。
そこで、法律や示談に精通した弁護士に依頼することが望ましいと言えます。
示談金の相場
暴行事件の示談金相場は、一般的に10万円~30万円と考えられます。
相手が怪我をしていないので、示談金額が高額化するケースは少ないです。
ただ、示談金に画一的な決まりはなく、被害者の方との交渉によって決まるものであり、「〇〇万円用意すれば安心です。」とは断言できません。
| 示談金の目安 | |
|---|---|
| 一般的な暴行事件 | 10万円 〜 30万円 |
| いじめや執拗な暴力 | 個別判断 |
よくあるQ&A
暴力事件は福岡の刑事弁護士にご相談を!
暴行罪の加害者となってしまった時、知らず知らずのうちに捜査が進んでおり、気づいた時には手遅れになっている…このような方が多くいらっしゃいます。
取り返しのつかない事態は何としても避けなければなりません。
「あの時、相談しておけばよかった…」
数年後にそう後悔しないために、弁護士にお早めのご相談を検討してみてはいかがでしょうか。
福岡の刑事事件に精通した私たちが、あなたの盾となり、被害者との架け橋となります。




