【不同意わいせつ罪】が成立する場合とは?|福岡の弁護士が詳しく解説

「突然、警察から連絡が来た」
「こんなに大事になるとは思わなかった」
今、あなたやご家族は、底知れぬ恐怖と不安の中にいるはずです。
特に性犯罪に関する近年の法改正や厳罰化は著しく、今後もその傾向は加速するでしょう。「不同意わいせつ罪」も、この流れの中で2023年7月13日に施行されたものです。
不同意わいせつ罪は、これまでの強制わいせつ罪から犯罪名が変わっただけではなく、条文の内容も大きく変更されました。
そこで、本記事では、不同意わいせつ罪について詳しく解説し、あなたが抱えている疑問に答えます。
- 不同意わいせつ罪が成立するのは、3つの類型のどれかに該当する場合
- 第1類型「同意しない意思を形成・表明・全う困難な場合」の不同意わいせつ罪とは?
- 第2類型「誤信・人違いの場合」の不同意わいせつ罪とは?
- 第3類型「相手が子どもの場合」の不同意わいせつ罪とは?
- 不同意わいせつ罪の公訴時効期間は?
- 不同意わいせつの刑事処罰は?
不同意わいせつ罪で捜査を受けている方は、この解説を読んで、ご自身の置かれている状況を理解してください。
そして、より良い結果を得るためには行動あるのみです。
この記事を読んで、必要性を感じたら弁護士に直接相談して、ご自身の状況に合った方針を取ってください。

不同意わいせつ罪の成立要件
以前の旧強制わいせつ罪の規定は「暴行又は脅迫を用いて」という表現でしたが、2023年7月の法改正により、この表現が一新されました。
「強制」という表現から「不同意」という表現に変わったことで、罪が成立する範囲が拡大しているイメージを抱きます。
そこで、どのような場合に「不同意わいせつ罪」が成立するのか、その成立要件を整理します。
刑法第176条(不同意わいせつ)
① 次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、6月以上10年以下の拘禁刑に処する。
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚がく 愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
② 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、わいせつな行為をした者も、前項と同様とする。
③ 16歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者(当該16歳未満の者が13歳以上である場合については、その者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第1項と同様とする。
条文を読み解くと、不同意わいせつ罪は3つの類型に整理できます。この3つの類型のどれかに該当すれば不同意わいせつ罪として処罰されます。
| 第1類型 (刑法第176条1項) | 同意しない意思を形成・表明・全う困難な場合 |
| 第2類型 (刑法第176条2項) | 誤信・人違いの場合 |
| 第3類型 (刑法第176条3項) | 相手が子どもの場合 |
そこで、各類型を詳しく解説していきます。
第1類型:同意しない意思を形成・表明・全う困難な場合
不同意わいせつ罪の第1類型は、同意しない意思を形成し、表明し、もしくは全うが困難な状態でわいせつ行為をする場合に成立します。
次の3つの条件をすべて満たした場合です。
- 原因行為・原因事由があること
- 被害者が同意しない意思を形成・表明・全う困難な状態であること
- わいせつ行為をしたこと
① 原因行為・原因事由(176条1項1〜8号)
第1類型の不同意わいせつ罪は、刑法第176条1項1〜8号の原因行為・原因事由があることが犯罪成立条件の一つとされています。
また、この原因行為・原因事由は例示列挙とされているため、条文の規定に完全に当てはまらなくても類似する行為・事由があれば該当することになっています。
| 原因事由・原因行為一覧 | |
| 1号 | 暴行・脅迫 |
| 例)体を押さえつける、「殺すぞ」と脅す | |
| 2号 | 心身の障害 |
| 例)知的障害や発達障害の人への性的な行為 | |
| 3号 | アルコール・薬物の影響 |
| 例)泥酔している、違法薬物を使用して意識が朦朧としている | |
| 4号 | 睡眠その他意識不明瞭 |
| 例)熟睡中・半寝状態・寝ぼけている | |
| 5号 | 同意しない意思を形成、表明または全うするいとまの不存在 |
| 例)すれ違いざま・不意打ちでキス | |
| 6号 | 予想と異なる事態との直面に起因する恐怖または驚愕 |
| 例)情交を結ぶつもりがない女性を2人きりの密室に呼びつけ、性的行為を迫る | |
| 7号 | 虐待に起因する心理的反応 |
| 例)DV・子への性的虐待・ネグレクト・いじめ | |
| 8号 | 経済的または社会的関係上の地位に基づく影響力による不利益の憂慮 |
| 例)社長が従業員に、性的な行為に応じないとクビにすることをほのめかし、従業員を不安にさせる | |
② 同意しない意思を形成・表明・全う困難な状態
次に、第1類型の不同意わいせつ罪は「同意しない意思を形成・表明・全う困難な状態」があることが犯罪成立の条件となっています。
整理すると次の3つの状態に分けられます。このいずれかの状態にあるかどうかが問題となります。

同意しない意思を形成することが困難
同意しない意思を形成することが困難とは、「わいせつ行為をしない、したくない」ということを自分の頭で考えること自体が困難な状態を指します。
例えば、睡眠中であったり、継続的な虐待のため同意しないという発想を持てない場合などです。
同意しない意思を表明することが困難
同意しない意思を表明することが困難とは、「わいせつ行為をしない、したくない」ということを頭で考えることはできるが、それを周りに伝えられない状態のことです。
例えば、意思を伝えたときの仕返し・不利益を恐れて思い悩んでしまい口に出せない状態などです。
同意しない意思を全うすることが困難な状態
同意しない意思を全うすることが困難な状態とは、「わいせつ行為をしない、しなくない」ということを頭で考え、周りに伝えられるが、その人の希望が叶うことはない状態です。
例えば、体を押さえつけられている場合などです。
③ わいせつ行為
わいせつ行為とは、性欲を刺激、興奮又は満足させる行為であり、普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為を言います。
例えば、キス、胸や陰部を弄ぶ、自分の陰部を押し当てる、下着を脱がせて下半身を観察する、自分の陰部を触らせ刺激させるなどの行為が該当します。
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第2類型:誤信・人違いの場合
第2類型の不同意わいせつ罪は、次の2つのどちらかに該当する場合に成立します。
- 行為がわいせつなものではないと誤信させて(または乗じて)、わいせつ行為をする場合
- 行為をする者について人違いをさせて(または乗じて)、わいせつ行為をする場合
ケース1:わいせつなものではないと誤信
「行為がわいせつなものではないと誤信」とは、本当はわいせつ行為なのに、被害者がわいせつ行為ではないと勘違いしている場合です。
自ら騙して相手に勘違いをさせたケースだけではなく、「乗じた場合」、つまり勝手に相手が勘違いしていることをいい事に、これを悪用した場合もこれに該当します。
「勘違いすることなんてあるのか?」と思われるかもしれませんが、例えば次のようなケースが典型例です。
医師が、患者に対し、「治療に必要だから」と騙して、陰部を弄んだ。
ケース2:行為をする者について勘違い
「行為をする者について勘違い」とは、被害者が行為をする相手を勘違いしている場合です。
先ほどと同じく、自ら騙して相手に勘違いをさせたケースのほか、「乗じた場合」にもこれに該当します。
例えば、次のようなケースが「行為をする者について勘違いした場合」に当てはまります。
女性にプレイと称して目隠しをさせた後、「彼氏のA君と行為をさせる」と言っておきながら、実際にはB君がわいせつ行為をした。
過去の事件では、「暗闇のため、被害者が夫と勘違いして性交してしまったケース」などがあります(広島高判昭和33.12.24)。
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第3類型:相手が子どもの場合
第3類型の不同意わいせつ罪は、子どもに対するわいせつ行為です。
そして、この第3類型は、被害者の同意があっても犯罪が成立することに注意が必要です。
16歳未満の子は、性的行為や行為をした場合の影響を自分で十分に理解できないからです。特に13歳未満の子の場合にはなおさら判断能力が未成熟と言えます。
子どもに対するわいせつ行為は、被害者の年齢により犯罪の成立条件が異なっており、次のように整理できます。
| 年齢差 5歳以上 | 年齢差 5歳未満 | |
| 子ども 13歳未満 | 不同意わいせつ | 不同意わいせつ |
| 子ども 13歳〜15歳 | 不同意わいせつ | 淫行・児童買春等 |
| 子ども 16歳〜17歳 | 淫行・児童買春等 | 淫行・児童買春等 |
- 相手が13歳未満の場合
自分の年齢に関わらず、不同意わいせつ罪が成立します。 - 相手が13歳〜15歳の場合
自分が5歳以上年上であると、不同意わいせつ罪が成立します。 - 相手が16歳以上の場合
自分の年齢に関わらず不同意わいせつ罪は成立しません。
しかし、各都道府県の青少年健全育成条例違反(淫行)や児童買春罪、児童福祉法違反(児童に淫行をさせる罪)が成立する可能性があります。
公訴時効:時効期間が伸長
これまで、不同意わいせつ罪に相当する旧強制わいせつ罪の時効は7年でした。
しかし、2023年6月23日から、不同意わいせつ罪の時効は12年となりました。
また、被害者が未成年の場合には、その未成年者が成人(18歳)になってから時効期間が進行し、そこから12年経過しないと時効が成立しません。
例えば、13歳の未成年が被害者の場合、5年+12年=17年経過後に時効完成となります。

このように、不同意わいせつ罪の時効期間は伸長しました。特に被害者が未成年者の場合には、(成人するまでの期間+時効期間12年)を経過しないと時効が完成しません。
不同意わいせつ罪は、長期間経過後に突然立件されるリスクがあります。
刑事処罰の内容と量刑相場
不同意わいせつ罪は「6月以上10年以下の拘禁刑に処する」と規定されています。
この規定から分かる通り、罰金刑が定められていません。ですので、不同意わいせつ罪で起訴された場合、必ず公開の法廷で刑事裁判をすることになります。
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初犯で認めて反省しているようなケースでは、執行猶予判決になることが多い印象です。
しかし、不同意わいせつ事件はやや重めの犯罪ですので、事案によっては実刑判決(刑務所)を受ける可能性も考えられます。
もし同種前科がある場合には、実刑の可能性はより高くなります。
逮捕・前科・刑務所を回避するなら、弁護士に依頼して刑事弁護をしてもらうことが必要です。
被害者に怪我を負わせた場合は?
犯行時に被害者に怪我をさせた場合、不同意わいせつ致傷罪(刑法181条1項)として処罰されます。
この場合、「無期又は3年以上の拘禁刑に処する」とされており、裁判員裁判を受けなければなりません。
この被害者が怪我をした場合とは、「犯行時に暴力を振るって怪我をさせた場合」だけでなく、「被害者が驚いて転倒した」「被害者が泣き崩れて地面に足を擦った」という場面でも、怪我をさせたことになります。
不同意わいせつ致傷罪は非常に重い罪ですので、できるだけ早めに対処しましょう。
よくあるQ&A
- 相手が「いいよ」と言ったはずなのに、後から訴えられました。
-
相手が正常な判断ができる状況で同意のもと性的な行為を行った場合には不同意わいせつ罪は成立しません。
しかし、ご自身と相手の認識が同じとは限りません。相手の認識では「無理やりされた」と感じているかもしません。
否認をするとしても、相手と示談をするとしても、入念な事前準備が必要です。
まずは弁護士に相談し、しっかりと準備を整えましょう。
- 下半身に玩具を挿入した場合は、性行為をしていないので、不同意わいせつ罪に該当しますか?
-
この場合、不同意性交等罪が成立します。
以前は強制わいせつ罪として処罰されている時期もありましたが、現在はより重い不同意性交等罪として処罰されます。
「性交等」とは、性行為のほか、肛門性交、口腔性交、膣や肛門に指や玩具を入れる行為なども含まれます。
この場合、5年以上の有期拘禁刑に処せられ、原則として執行猶予は付きません。
- 行為の様子を動画撮影していました。不同意わいせつ罪のほかに犯罪となりますか?
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不同意わいせつ行為をしている最中に動画撮影した場合、盗撮(性的姿態等撮影罪)になります。
また、相手が未成年(18歳未満)の場合には、児童ポルノ製造の罪が成立します。
不同意わいせつ罪のほかに、これらの罪に問われるので、処罰は重くなります。
早めに弁護士に相談していただくことを強くお勧めします。
不同意わいせつ罪のご相談は、福岡弁護士法律事務所にご相談ください!
不同意わいせつ罪の疑いをかけられた時、人は極度の不安を覚え、冷静な判断力を失います。
現実を逃避したい気持ちは分かりますが、事件を放置することになれば事態は悪化し、ある日突然、警察が自宅にやってくるかもしれません。
福岡弁護士法律事務所は、あなたの味方です。
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