【過失傷害罪】の前科回避策や示談のメリットは?|福岡の弁護士が徹底解説

「日常生活で事故を起こしてしまい、過失傷害の容疑で警察から呼び出しがあった」
「相手からは高額な慰謝料を請求された」

このようなトラブルで不安を抱える方に向けて、この記事では、過失傷害罪の成立条件、捜査の流れ、法的リスクから示談のポイントまでを徹底解説します。

この記事で分かること
  • どのような場合に過失傷害罪が成立するか
  • 捜査の流れ
  • 科される刑事処罰と、前科を避ける方法
  • 被害者との示談金の目安と交渉のコツ
目次

どのような場合に過失傷害罪が成立するか?

不注意で怪我をさせると成立する

過失傷害罪(刑法209条)は、「過失によって他人に怪我をさせた」場合に成立する犯罪です。
過失とは、簡単に言えば不注意のことです。

刑法209条(過失傷害)

① 過失により人を傷害した者は、30万円以下の罰金又は科料に処する。

② 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

「わざと」じゃないのに犯罪になるのか?

犯罪は、基本的に故意(罪を犯す意思)がないと成立しません。

しかし、法律上、特別に定めた場合には、「過失」(不注意)による行為でも罰することができるとされています。

この特別の規定の一つが過失傷害罪です。

その他には、不注意で火事を起こして隣家を燃やした失火罪(刑法116条)、業務上の不注意で負傷させた場合の業務上過失致傷罪(刑法211条前段)、不注意で自動車事故を起こした場合の過失運転致傷罪(自動車運転処罰法第5条)などがあります。

したがって、わざと怪我をさせたわけではなくても、刑事処罰を受ける恐れがあります。

たとえ過失(不注意)であっても、

  • 人が負傷するという結果が発生することを予想できたし、予想すべきであったのに予想しなかった
  • 人が負傷する可能性を予想していたのに、結果の発生を未然に防止するための適切な措置を講じなかった

という場合、その不注意には刑事処罰に値する責任があると考えらています。

具体的な態様(よくある事例)

過失傷害罪に問われてしまう不注意は、日常の家事や犬の散歩、スポーツ事故、歩行者同士や自転車事故など、日常生活でよく起こる出来事の中に潜んでいます。

  • 犬の散歩中にリードを離してしまい、飼い犬が通行人に噛みついた。
  • スキーやスノーボード中に不注意で他人に衝突した。
  • ベランダから物を落とし、通行人に当てた。
  • 自転車の走行中に歩行者に気づかず衝突した。

自転車事故は過失傷害?重過失致傷?

刑法211条後段は、「重大な過失により人を死傷させた」ときは、5年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処することにしています(重過失致傷罪)

先ほど、過失傷害の一例として自転車事故を挙げましたが、自転車事故の状況によっては重過失致傷罪として処罰されます。

自転車事故で過失傷害罪となるか、重過失致傷罪になるかの違いは、普通の人が払うべき注意を著しく欠いたかどうか、危険性が著しく強く非難されるものかどうかによります。

公訴時効

過失傷害罪の公訴時効は3年です。
事故発生から3年が経過すれば、刑事罰を科されることはありません。

しかし、民事上の賠償責任の消滅時効は5年です(民法724条の2)。5年経過しないと賠償金の支払義務は残ったままなので、やはり早期の解決しておくと安心です。

刑事手続の流れ:逮捕されるのか?

刑事事件は、身柄事件(逮捕されるケース)在宅事件(逮捕されないケース)のどちらかで捜査が進みます。

そして、過失傷害事件の大半は、在宅事件として捜査が進みます。

過失傷害罪の場合、住居不定や正当な理由なく出頭を拒否するなどの事情がないと逮捕ができないことになっているからです。

在宅事件の場合には、通常通りの日常生活を送ることができます。警察から呼び出しを受けた際に日程調整の上、出頭すれば良いのです。

刑事処罰の内容と処罰の相場

過失傷害罪の罰則規定

過失傷害罪の法定刑は、「30万円以下の罰金又は科料」です。拘禁刑は規定されていません。

この規定を見る限り、他の罪と比べると軽い犯罪と言えるでしょう。

しかし、軽い罪であっても、刑事処罰を受ければ前科が残ります。

刑事処罰の目安

過失傷害の場合には、次のような整理ができると考えています。

初犯の場合不起訴または低額の罰金
大きな不注意の場合
怪我が重い場合
10万円〜30万円の罰金

刑事処罰が科せられる場合、略式罰金(正式裁判なく罰金を支払う)となり、事件が終了するのが一般的です。

この略式罰金は前科となります。

前科が付くことを回避したい場合には、示談が有効な手段となります。

加入している保険を確認しよう!

過失運転致傷罪で捜査をされていると言うことは、日常生活上の不注意で人に怪我を負わせてしまったことを意味します。

つまり、日常生活上の事故に該当するケースが大半です。

この場合、あなたは被害者に賠償金を支払う責任を負います。

しかし、あなたや同居のご家族が加入する自動車保険や火災保険にオプションとして「個人賠償責任保険」が付帯されている場合ことがあります。

この場合には、あなたに代わり保険会社が賠償金を支払ってくれるので、あなたはお金の負担をしないで済む可能性があります。

必ず、自分や家族の保険を確認してください。

不起訴獲得の方法:示談

過失傷害罪は親告罪

「示談」は、過失傷害事件において、不起訴処分を得るために、非常に有効な解決策です。
なぜなら、過失傷害罪は「親告罪」だからです。

親告罪とは、被害者の告訴がないと起訴をすることができない罪のことです。
告訴とは、被害者が、捜査機関に対して、「この人を厳重に処罰してほしい」と意思表示をすることです。

そこで、あなたは、被害者と示談をして

  • 告訴が捜査機関に提出されないようにする
  • 告訴を取り消してもらう

ことをすれば、必ず不起訴になるのです。

示談金の相場

傷害事件など相手が怪我を負っている事案では、治療費・通院のための交通費・休業損害・慰謝料などの金額を合計した金額を支払わなければならない可能性が出てきます。

示談金の計算式

示談金=治療費+通院のための交通費+休業損害+慰謝料+その他実費

様々なサイトで傷害罪の示談金相場が紹介されているかもしれませんが、示談金額は、相手のお怪我の内容や程度によって大きく異なります。実際に治療が始まってみないと金額が分からないのです。

ですので、安易に、「軽微な怪我の示談金は〇〇万円」「重症だと〇〇万」などと決めてかからない方が良いと考えます。

先ほども説明したとおり、個人賠償責任保険が利用できる場合には、一般に、示談金額は大幅に減少すると考えられます。

治療費・通院のための交通費・休業損害・慰謝料・その他実費は、保険会社が全額もしくは広い範囲でカバーしてくれるからです。

もちろん、示談金はあなたと被害者の話し合いにより任意に決まる金額なので絶対という保証はありません。しかし、保険会社が支払ってくれる分、あなたが負担する示談金額は減ります。

ですので、個人賠償責任保険が利用できるかどうかで、示談金の負担額は大きく変わってくるということを理解しておきましょう。

イメージにすると下記の通りです。

個人賠償責任保険の
利用可能
示談金の負担が減る
個人賠償責任保険の
利用不可
示談金の負担が大きい

示談をする3つの圧倒的メリット

被害者との示談について詳しく説明してきましたが、示談をする圧倒的メリットは次のとおり整理できます。

  1. 前科がつかない
    過失傷害罪は親告罪のため、告訴取消しにより必ず不起訴になる。
  2. 民事トラブルの同時解決
    示談書内に「清算条項」を加えることで、保険会社の支払いは別として、後から高額な慰謝料を自己負担しなくて済む。
  3. 精神的解放
    「いつ警察から連絡が来るか」という恐怖から解放されます。

よくあるQ&A

相手が「わざとやったんだろ!」と怒っています。どうすればいいですか?

もし「わざとであること」を認めてしまうと、傷害罪が成立してしまいます。傷害罪の場合、15年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金という重い処罰が科せられます。

しかし、「わざと」でなければ傷害罪は成立しませんので、故意に怪我をさせたことはしっかりと否定してください。

自分で「わざとではない」と主張すると、被害者のお気持ちを害しませんか?

その可能性は否定できません。ですので、当事者間で話し合うのは避けて、第三者を介して話し合った方が良いです。示談交渉を含めて被害者の方とのお話し合いは弁護士に任せた方が安心です。

個人賠償責任保険が利用できます!保険会社が示談をしてくれるので、示談を弁護士に任せる必要はないですよね?

いいえ、弁護士に示談交渉を依頼する必要があります。

なぜなら、保険会社が行う示談はあくまで民事上の示談であって、刑事上の示談ではないからです。保険会社の示談には告訴取消しの効果はありません。

過失傷害罪のご相談は福岡の刑事弁護士に!

過失傷害罪は、一瞬の不注意で誰にでも起こりうる事件です。対応を間違えれば「前科者」というレッテルを貼られ、あなたや家族の未来に影を落とします。

「あの時、専門家に相談していれば…」と後悔する前に、まずは当事務所へお電話ください。

福岡弁護士法律事務所は、数多くの刑事事件を解決し、不起訴処分を勝ち取ってきた実績があります。
私たちはあなたの味方として、被害者との交渉、警察への働きかけを迅速に行います。

あなたの日常を取り戻すための第一歩を、私たちがサポートします。

この記事を書いた人

成瀬 潤のアバター 成瀬 潤 福岡弁護士法律事務所 共同代表弁護士

【学歴】
・法政大学第二高等学校
・法政大学法学部法律学科
・中央大学法科大学院
・司法試験(68期)合格

【経歴】
・某A法律事務所新宿支部にて勤務
・某A法律事務所福岡支部長に就任
・福岡弁護士法律事務所の共同代表弁護士に就任

【プロフィール】
大学時代に、尊敬する故・木谷明氏(元裁判官・弁護士)から刑事法を学び、刑事弁護士になることを志す。弁護士登録後は、刑事弁護人としての活動を重点的に行い、これまで受けた刑事事件の相談件数は2000件を超える。刑事事件のほか、交通事故事件・離婚事件・男女トラブルに注力する。座右の銘は「至誠通天」。

【弁護士からのメッセージ】
刑事事件の当事者は、家族や友人も打ち明けることもできず、不安な日々を過ごされていると思います。そのような時こそ、味方となるのが弁護士です。一人で抱え込まず、弁護士にご相談下さい。あなたに寄り添い、全力でサポートします。

【弁護士情報】
・福岡県弁護士会所属(登録番号:52748)

【メディア出演】
・フジテレビ「直撃LIVE グッディ!」
・フジテレビ「めざましテレビ」
・KBC九州朝日放送「土曜もアサデス。」

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