【示談】刑事事件の示談とは?メリット・心構え・示談の流れを福岡の弁護士が詳しく解説

刑事事件の当事者(加害者側)になってしまった際、最も重要なキーワードとなるのが「示談」です。
しかし、「示談をすれば本当に前科がつかないのか?」「いくら払えばいいのか?」「どうやって進めればいいのか?」など、多くの不安や疑問を抱えることでしょう。
この記事では、刑事事件における示談の重要性、示談のメリット、示談の心構え、示談の流れを詳しく解説します。
- 刑事事件の示談とは?
- 示談の種類
- 示談のメリット
- 示談の心構え
- 示談の流れ
刑事事件の示談とは?
示談(被害弁償)の種類
刑事事件の加害者は、被害者に対して金銭的な対価を支払ってお詫びをします。ここでは、このお詫びのことを総称して示談を呼ぶことにします。
そして、この示談には大きく分けて「被害弁償」「和解」「宥恕付き示談」の3種類があり、どの対応ができるかにより、得られる効果が異なってきます。

| 示談の種類と効果 | |
|---|---|
| 示談の種類 | 効果 |
| 被害弁償 | 小〜中 |
| 和解 | 小〜中 |
| 宥恕付き示談 | 大 |
では、示談の3種類について詳しく見ていきましょう。
被害弁償
被害弁償とは、加害者が被害者に対して被害の償いとして損害を賠償することです。
被害弁償の場合には、和解や示談と異なり、和解書や示談書を取り交わすことなく、被害者に対して金銭を支払うだけです。
被害弁償をした証拠となるのは、被害弁償金を振り込んだ銀行の振込明細書、被害者から交付される受領書といった書面が考えられます。
被害弁償は、和解や示談と比較すると、刑の軽減効果は小さいですが、被害弁償すらしていない場合と比較すると有利と言えますし、金額次第では相当の処罰軽減効果が見込めます。
和解
和解とは、加害者と被害者が金銭的解決を図ることに合意することです。民事上の解決を図ると言い換えることもできます。
和解の場合、通常は「和解書」「合意書」といった契約書を取り交わします。
そして、この書面の中に、次のような内容を盛り込むことが一般的です。
- 和解金としていくら支払うのか
- どのような方法で支払うのか
- 被害者は今後追加での損害賠償請求はできないこと
- 加害者は追加での支払義務を負わないこと
和解をした場合、民事上の解決が図れるので、後から追加で損害賠償を請求されたり、民事訴訟を起こされる可能性がなくなります。
和解は将来のトラブルを予防するために有効な手段と言えます。また、刑事事件にとっても刑の軽減効果が期待できます。
宥恕付き示談
宥恕付き示談とは、加害者と被害者が民事上の解決を図るだけではなく、刑事上の解決を図ることです。
刑事事件で「示談」というときは、このことを指すことが一般的です。
ですので、宥恕付き示談では、示談書を取り交わします。この示談書には、和解書に盛り込む内容に加えて、「加害者の刑事処罰を望まない」という規定を入れます。
「加害者の刑事処罰を望まない」という規定のことを宥恕規定(宥恕文言)と言います。
宥恕付き示談をすることにより、民事上の解決が図られるだけではなく、刑事処罰の大きな軽減効果が期待できます。
事件の性質によりますが、被害者が宥恕していることで不起訴になる事件は多数あります。
実質的に、示談をしていれば不起訴、示談をしていないと起訴という事件は非常に多いのです。
示談のメリット
刑事事件で示談をするメリットには実は様々あります。それが次のとおりです。
- 不起訴処分の獲得できる(前科を回避)
- 刑事処罰の軽減が期待できる
- 早期釈放を実現できる
- 民事的解決ができる(金銭面の解決)
- 資格剥奪を回避できる
- 海外渡航不可を回避できる
不起訴処分の獲得できる(前科を回避)
日本の刑事事件において、起訴された場合の有罪率は99%以上です。つまり、前科を避けるためには不起訴処分を目指す必要があります。
被害者との間で「加害者を許す」という内容(宥恕文言)を含んだ示談が成立していれば、検察官は「当事者間で解決済みであり、これ以上国が処罰する必要はない」と判断し、不起訴にしてくれる可能性が飛躍的に高まります。
刑事処罰の軽減が期待できる
仮に不起訴処分が獲得できなくても、示談をしていれば、有利な情状事実があると評価されて刑事処罰の軽減が見込めます。
そのため、示談をしていると、罰金刑にとどまったり、執行猶予を獲得できて刑務所を回避できる可能性が上がります。
早期釈放を実現できる
逮捕・勾留されている場合でも、示談が成立すれば「これ以上証拠隠滅や逃亡の恐れがない」と判断されて、早期に釈放される確率が高まります。
起訴後であっても、保釈が通るケースが格段に増えます。
- 逮捕阻止
- 勾留阻止
- 勾留後の早期釈放
- 保釈の認容
身柄拘束が仕事や学校に与える影響は大きいため、仕事や学校に復帰するために示談をして早期釈放を目指しましょう。
民事的解決ができる(金銭面の解決)
犯罪行為は、民事上は不法行為となります。
そこで、被害者は、加害者に対して、不法行為に基づく損害賠償請求をする権利があります(民法第709条)。
しかし、示談書の中で清算条項(今後、本件に関してお互いに金銭請求を行わないこと)を盛り込むことで、将来的に高額な損害賠償請求をされるリスクがなくなります。
資格剥奪を回避できる
これは、示談をして不起訴になったり、刑の軽減ができたことによる派生的な結果となりますが、国家資格を持っている人は資格取消しや資格の停止を回避することができます。
これから国家資格を取ろうとしている人も、何も気にせずに資格試験に挑むことができます。
また、公務員の方は拘禁刑以上の刑(執行猶予を含む)を受けると当然に失職します。罰金刑であっても、懲戒処分は避けられないでしょう。
しかし、示談をして不起訴になれば、当然失職することを回避することができますし、懲戒処分の被害も抑えることができます。
海外渡航不可を回避できる
海外で生活している方やビジネスで海外出張が多い方の場合、海外に渡航できないことは将来を左右する重大事です。
もし刑事処罰を受ければ、海外に渡航できないリスクが生じます。
しかし、示談をして不起訴や刑の軽減ができれば、そのリスクを回避できます。
示談の心構え
次に示談の心構えを説明します。
- 示談の一歩は誠実な謝罪から
- 示談金は事前の用意が必須
- 示談金は余裕を持って確保する
- お金だけではない被害者の要望に耳を傾ける
示談の一歩は誠実な謝罪から
示談の第一歩は誠実な謝罪からです。
そこで、示談交渉に先立ち、謝罪文を作成します。
これから謝罪文作成のステップを説明します。
- 便箋、封筒、黒のボールペン、印鑑を用意してください。
- 黒のボールペンで謝罪文を書き進めてください。
- 謝罪文の内容は、まずは率直な謝罪の気持ちを書き、被害者が抱いている苦痛や生活に生じている支障などを想像しながらどのように申し訳なく思っているか具体的に書いてください。
- 自己保身や他責と捉えられる記載は控えてください。
- 書き間違えたら一から書き直してください。
- 分量は便箋2〜3枚程度が一般的だと考えられます。
- 本文を書き終えたら、最後に書いた日、名前を書き、名前の下に印鑑を押してください。
- 完成した謝罪文を封筒に入れて相手に渡すことになります。
- 謝罪文は、封をする前にコピーしておくか、写真に残しておくと良いでしょう。
- 封筒には、表面の中央に被害者の名前若しくは「被害者様」と書き、裏面の左下にご自身の名前を書いてください。
- これで完成となります。
示談金は「事前に余裕を持って確保」が鉄則
示談交渉に臨むには、事前に示談金の準備が必要になります。なぜなら、示談書を取り交わしてから1〜2週間以内に支払うことも多いですし、分割ではなく一括で支払うことが圧倒的に多いからです。
また、示談金は余裕を持って確保してください。
例えば、示談金の相場が20万円〜50万円だった場合には50万円用意できるよう努めてください。示談は一度きりの交渉になります。「あと少し用意できていれば…」と後悔しないためにも余裕を持った確保を心がけましょう。
お金だけではない被害者の要望に耳を傾ける
示談は交渉の一つです。
そして、示談交渉の機会は、加害者の希望と被害者の希望をそれぞれ提示し、双方が譲歩をしながら合意に至る建設的な話し合いの場です。
被害者は、犯罪被害を受けて精神的に大きなショックを受けていますし、犯罪の種類によっては「夜道を歩けない」「駅が利用できなくなった」など生活上の支障を抱えているものです。
ですので、加害者は、自分の要望を突き通す姿勢だけではなく、被害者の声に耳を傾け、被害者の要望を理解する努力をすべきです。
示談の流れ
では次に、具体的な示談の流れをご説明します。
例外もありますが、通常の流れは以下のステップとなります。
- 原則、刑事事件で示談をするには、弁護士を付ける必要があります。
- 加害者本人が被害者と直接交渉することは、基本的にNGとされています。警察や検察は、加害者に被害者の連絡先を教えることはありません。
- ですので、弁護士を通じてのみ、コンタクトが可能になります
- 弁護士が警察や検察に連絡して、被害者との取次ぎを依頼する
- つまり、警察や検察に被害者の氏名、連絡先を教えて欲しいと要望します。
- すると、警察や検察は、被害者に確認を取り、被害者本人の了承が得られれば、連絡先を教えてくれます。
- もし被害者が拒絶した場合には、弁護士に連絡先を伝えられることなく、示談交渉は事実上不可能です。
- 弁護士が被害者の連絡先を入手したら、できるだけ速やかに連絡をします。
- 通常は被害者の電話番号を教えられるので、電話をかけて、謝罪をした上、一度お会いして話をしたい旨お願いします。
- 被害者に電話をした際に、面談日を決めることが多いです。
- 面談日、弁護士と被害者が話し合いを行います。加害者が面談日に同席することはありません。
- 話し合いの場では、弁護士から謝罪、謝罪文の手渡し、事件の内容や刑事手続の流れ、処分の見通しなどを話せる範囲で伝えます。
- 被害者のお気持ちを丁寧にお聞きします。
- その上で、示談案を提示します。
- その場で示談が成立することもありますが、被害者の多くは持ち帰り検討を加えます。
- その上で、被害者の要望を聞き、加害者側でも検討を加えながら当初の示談案を修正していきます。
- 交渉を重ねた結果、双方が納得できる条件になれば正式に示談書を取り交わします。
- その後、示談金を弁護士経由で支払い、示談の手続は完了します。
- 示談がすべて完了したら警察や検察に報告し、示談書の写しなどの根拠資料を提供します。
示談交渉は福岡密着の弁護士に相談!
不起訴を目指す示談には時間制限があります。
それは検察官の終局処分までと決まっています。これを期限を過ぎてしまった場合には、後から示談をしても不起訴には絶対になり得ません。
ですので、検察官の終局処分は絶対の基準です。
そして、検察官の終局処分まで期間は、在宅事件の場合には数ヶ月の余裕がありますが、身柄事件の場合にはたったの23日間です。
在宅事件の場合であっても、被害者のお気持ちを考えたら、できるだけ早く謝罪して示談交渉に着手すべきです。
そして、示談交渉は弁護士しかできません。
もし、あなたや大切な人が刑事事件を起こしてしまったら、まずは冷静になり、示談のプロである弁護士に相談してください。
示談は「過去の過ちを清算し、新しい一歩を踏み出すための契約」です。誠実な対応こそが、最良の結果を生む唯一の道です。




